2019.10.01 15:46眼「きみは見ているだけで、観察していないんだ。 見ることと観察することとは、まるっきり違う。 たとえば、玄関からこの部屋へ上がる階段を、きみは何度も見ているね」「ずいぶん見ている」「何度くらい?」「そうだな、何百回と見ているな」「じゃあ聞くが、何段ある?」「何段かだって! そんなのは知らないな」「そうだろう! 観察していないからだ。 見るだけは見ているのにね。 ぼくの言いたいのはそこなんだよ。 ぼくは十七段だということを知っている。 見るだけでなく観察もしているからだ。—後略—」 『ボヘミアの醜聞』アーサー・コナン・ドイル著 / 日暮雅通訳(光文社文庫より) レイアウトを適宜変更してあります。